サラリーマンを辞める前に積極的に銀行からお金を借りておくか問題
近い将来退職を予定しているのですが、退職の前にサラリーマンの最大の武器である「信用力」を活用すべきかどうかずっと考えています。
サラリーマンでいるうちは、会社の信用力に加えて、「基本的には労働をすることで安定的な収入がある」という属性だとみなされるため、銀行からお金を借りやすいという実態があります。
積極的にお金を借りたいケースとして想定しているのが、不動産投資です。厳密には、現物としての不動産に投資する、現物不動産投資。アパートの一棟買いみたいなやつですね。
不動産投資の魅力とは?
健美家や楽待といった不動産投資情報サイトを眺めていると、大家さんへの憧れは膨らんでいきます。
また、「金持ち父さん」のロバート・キヨサキ氏も不動産投資を推奨していますね。
不動産投資の魅力を考えてみましょう:
- 住人が一生懸命働いて獲得した給料から支払う家賃が安定的なキャッシュフローとして入ってくる
- 故障などのトラブル対応は管理会社に委託できる。かつそれが家賃収入の数%程度で可能
- 不動産を担保に銀行から借り入れができるためレバレッジをかけられる。つまり、自己資金よりも大きな投資をすることができ、自己資金見合いのリターンは大きい
- 不動産投資以外の収入がある場合には、不動産の減価償却費とローンの利息費用などを損金扱いすることで節税となる
まさに不労所得の典型ということで、投資をしたい気持ちがどんどん膨らんでいきます。
2024年の環境で素人が不動産投資で成功できるのか?
一方で、これだけネットやSNSが普及して情報やノウハウがあふれる中で、こんなにうまい話が転がっているものなのか?と冷静になってみるとどうでしょうか?
不動産の現物投資をやるべきでない理由も複数考えることができます:
- 低金利下で不動産価格は上がり続けてきた
- 情報サイトでは表面利回り4-5%程度の案件が中心で、過去よりも利回りが落ちている
- 大家の先輩投資家さん達は、土地を買って新築を立てる方が収益性が高いと判断して新築投資にすでに動いている
- 情報の非対称性が大きい市場であり、魅力的な物件は公開される前にすでにネットワークを築いている投資家にとられてしまっている
このあたりがやはり不安材料ですね。
自分はわざわざローンを借りてまでして大家さんになりたいのか?
おそらく今の開拓され切った不動産市場の中で、初心者が不動産の現物投資に踏み出したとしたら、十中八九はカモにされるでしょう。
先輩大家さんにメンターをお願いして、ネットで不動産ポータルを眺め続けて、何件も情報請求と見学に行き、申し込みをして、運が良くて、なんとか損にならないくらいの物件に投資することができるというような感覚じゃないでしょうか?
そこにまず労力を割ききれるほど現物不動産へのパッションが自分にあるのか?
そう自問自答をしてみると、答えはNO!
そもそもの起点が、「サラリーマンを辞める前に、サラリーマンの武器である信用力を使わないのはもったいないのではないか?」というのがスタート地点。
そして自分の投資スタイルを改めて整理すると、下記の観点から、不動産投資をするのであれば、現物よりも圧倒的にREITであるという結論になります。
- 日本は地震や台風、最近だとゲリラ豪雨といった災害が多いので、地理的に分散投資をしたい。アパート一棟買いの場合、空室リスクは分散できるが、地理的な分散はできないので、仮に一つの物件が災害にあった場合、保険でカバーできる部分はあるだろうが、ローンを借りている分、再起不能に近いダメージを負う可能性がある
- 自己資金の範囲内で身の丈にあった投資をしたい。人のお金を預かったり、借りたりして投資をするストレスを負いたくない
- 空室を埋めるための価格設定だったり、修理や修繕費用の見積もりだったり、細かい判断で迷いたくないし、考えたくもない。手配だけではなく、最適な判断ができるプロに任せたい
そう考えると、流動性も高いし、分散投資もできるREITは、現状では税引き前で5%の配当利回りが狙える水準なので、圧倒的にREITという感覚。
とは言え、成功している大家さんの投資体験談を聞くのは興味深いし、うらやましいなと思うのが正直なところです。投資の世界もないものねだりですね。
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